「BECK」
作者 ハロルド作石 掲載誌 月刊マガジン(講談社)34巻完結
こんな人におススメ
年齢:10代以上 性別:男性
ジャンル:音楽、青春
マンガ系統:日々ロック、ブレーメン
バンドマンガの最高峰の作品です。
ギター少年はこれを読め。
私は本当に大好きな作品です。
ネタバレは少ししますが、これから読む人にも差し障りのない程度に留めます。
少しでもネタバレが嫌な人は読まないことをオススメします。
3ポイントであらすじ
- 平凡な生活を送っていた中学生の田中幸雄(コユキ)は、南竜介と出会う。
- 竜介は、自分でバンドを組んでライブ活動を行っていた。
- コユキは、竜介の影響で音楽の世界にのめり込む。
1人のギター少年の物語
音楽好きの男の子だったら、みんな1度はギターを触ってみたりすると思います。
友達の影響だったり、兄弟の影響だったり、先輩の影響だったり。
コユキのギターの入り口は、南竜介という男でした。
ニューヨーク帰りの帰国子女。天才的なギターテクニックを持ち、伝説のギター「ルシール」を持つバンドマン。
ある日。コユキは、1匹のツギハギだらけの犬「ベック」を助けます。
この犬が、竜介の犬だったことから二人の出会いが始まりました。
竜介から1本のギターを借り、自分もギターの練習をすることになったコユキ。
これがコユキの音楽生活の入り口だったのです。
徐々に開花する才能
コユキは、自分の不注意で竜介から借りていたギターを壊してしまいます。
竜介にとっても大切なギターだったことから、竜介を怒らせてしまったコユキは、なんとか修理しようとバイトを始めます。
このバイト先の斉藤さんは、ギターが弾けて、水泳が上手いので、水泳と、ギターの師匠として物語に関わってきます。
コユキは、斉藤さんからギターの基礎を教わり、自分でもギターの練習を続けていきます。
ここで登場するのは、斉藤さん所蔵の「ホワイトファルコン」。
最も美しいとされるギターで、コユキは斉藤さんからこのギターを借りて練習に打ち込むことになります。
ある意味で、斉藤さんは、コユキの音楽人生に大きな影響を与えた一人なんですね。
その頃には、クラスに、サクというドラムを弾ける音楽友達ができています。
バンド結成
竜介は、自身のバンド「シリアルママ」を解散し、新しいバンドを結成しようとしていました。
ベースの平、千葉をスカウトし、ドラムに東郷を加え活動していた。しかし、何かが足りないと思っていた。
コユキがいまだにギターの練習を続けていることを知った竜介は、コユキをスタジオに誘い、一緒に演奏をしてみた。
コユキがふと歌ってみたとき、バンドメンバーの顔色が変わった。
東郷が脱退し、コユキとサクがサポートメンバーとして参加し、バンド名を「ベック」とすることにしたのだった。
コユキの天性のボーカルに何かを感じた竜介。
最強のバンドを作ると宣言した竜介率いる「ベック」の物語と展開していきます。
漫画で音楽を描くすごさ
BECKのすごさは、音楽シーンにあります。
マンガですから当然、音は聞こえない。
でも、演奏シーンの巧みなコマ割り、表情、飛び散る汗や観客の熱狂などから、まるで自分がそのライブを見ているような没入感を味合わせてくれるのです。
どんな音楽なのかは想像でしか補うことができないですし、だからこそ、BECKの音楽は自分が想像する最高の音楽に変換されるのかもしれません。
連載当時、毎月掲載誌を読むのが楽しみでしたが、毎回トリハダが立つシーンがあり、月1回の大切な楽しみでした。
このマンガは、実写映画にもなりましたが、音楽シーンは敢えて無音でしたね。
原作リスペクトからの演出だったともいますが、個人的には、ちょっと違和感でした。
漫画という世界はそもそも音が聞こえないものだからこその演出で、音が聞こえる映像の作品で敢えて無音になることに違和感を覚えたんだと思います。
そこだけ想像力かよ!!って。
2人のヒロイン
このマンガには2人のヒロインが登場します。
1人は、コユキを小さいころから知っている一つ上の石黒泉。
水泳部のエースで、学校のアイドルです。
もう1人は、いち早くコユキの才能に気づいた、竜介の妹、南真帆。
帰国子女で、思ったことをはっきり言う。
ビアンカとフローラだったら断然ビアンカ派ではありますが、泉と真帆の両天秤はつらい!
当初は、普通の中学生のコユキですから、学校にいる泉との接点が多いわけですが、物語が進んでくると、コユキの活動主体はバンドになってきますから、真帆との接点が増えてきます。
この二人のヒロインとコユキの甘酸っぱいような青春恋愛もBECKの魅力の一つと言えます。
まとめ
ギターを手に取った少年は、誰しも思い描く夢があります。
それが叶うのは、ほんの一握りの人間。
努力と、才能と、運と、すべてがそろって初めて達成されるものです。
BECKは、なんでもない、なんならちょっといじめられ気味の一人の少年が、南竜介との出会いによって、自らの才能を開花し、夢を叶えるというストーリーです。
とても読みごたえがある34巻ですし、正直ずっと面白い!
是非とも手に取ってほしい作品です。