「バクマン。」
原作 大場つぐみ 作画 小畑健 掲載誌 週刊少年ジャンプ(集英社)20巻完結
こんな人にオススメ
年代:10代以上 性別:男性
ジャンル:マンガ、青春、恋愛
系統:RiN
デスノートのコンビが、週刊少年ジャンプの編集部の内部のネタバレ満載で、漫画家を目指す二人の少年を描いた本作。
マンガ好きには外せない1冊になりました。
ジャンプだからこそ出来た、ジャンプ大好き少年のためのマンガ。
「バクマン。」の魅力にネタバレ無しで迫ってみたいと思います。
こぼれ話も交えまして。
知ったか3ポイント
- 中学三年の真城最高(サイコー)は、高い画力を持ちながら、将来の夢を持たず退屈な日々を送っていた。
- 秀才で作家志望の高木秋人(シュージン)に漫画家にならないかと誘いをかけられるも断った。
- しかし、想いを寄せる亜豆が声優志望と知り、シュージンと一緒にマンガを書くと宣言し、アニメ化したら結婚する、それまで会わないという約束をしたことから、二人の漫画家人生が始まる。
二人で漫画家を目指す友情、努力、勝利の物語
週刊少年ジャンプのキャッチフレーズは、友情、努力、勝利
この3つを体現するまさにジャンプの王道作品といえます。
絵が上手いサイコーと、話作りが上手いシュージンで、一つのマンガを作る。
連載を勝ち取り、アニメ化までする。
この明確な目標のために、二人はお互いの友情を確かめ合いつつ、互いに努力し、勝利を勝ち取るのです。
試行錯誤して、何とか一つのマンガ、「ふたつの地球」という作品を書き上げ、週刊少年ジャンプの編集に持ち込み、敏腕編集の服部と出会います。
決して天才ではなかった二人だが、二人の前に同年代の天才、新妻エイジが現れます。
彼は、同年代にも関わらず、手塚賞に準入選を果たし、常に二人の先を走っていた。
週刊少年ジャンプという舞台で、サイコーシュージンの2人と、新妻エイジの漫画家バトルが繰り広げられるのです。
小さいころから、週刊少年ジャンプを欠かさず読んでいた人間にとっては、毎回ジャンプの裏話を見ているようでワクワクドキドキでした。
アンケートってどうなってるの?掲載順って意味があるの?編集の人ってどこまで作品に関わるの?連載ってどうやって決めてるの?打ち切りは?
などなど、週刊少年ジャンプについての疑問ってみんなあると思うんですよね。
もちろん、不確定なネットの情報であったり、噂レベルではいろいろあるのですが、バクマン。では、ジャンプらしく真っ向からマンガで答えてくれています。
いい部分ばかり書かれているジャンプのステマかと思いきや、ジャンプの駄目な部分というか、それ言っていいの?みたいな部分まで描かれています。
そういうリアリティが、バクマン。の面白さに繋がっている気がします。
小畑健、大場つぐみのコンビの謎
小畑先生は、ヒカルの碁の作画を担当されていることでも知られていますが、大場つぐみって誰?って人はいると思います。
もちろん、デスノートは知っていると思いますが、それ以前の作品がないため、正体不明の大場つぐみという人物について、ネットでいろいろな憶測が当時流れていました。
新人にしては、話がうますぎる、もしかして、誰かの別のペンネームなのではないかというものです。
そこで有力視された説について
まず、大場つぐみという名前をローマ字にします。
OOBATUGUMI
このOOBATUGUMIは、作画の小畑先生と、あるもう一人の漫画家のアナグラムなのではないか、という説です。
その漫画家とは、ガモウひろし先生です。
今の若い世代の人には馴染みがないかもしれませんが、ガモウ先生とは、ジャンプの黄金期に連載されていた、「とってもラッキーマン」というギャグマンガの作者です。
たしかに、OOBATUGUMIには、小畑、ガモウの両方の名前が入っています。
しかし、公式の発表はなく、真相は謎に包まれていました。
しかし、本作において、大場つぐみ=ガモウひろしを裏付ける新たな証拠が出てきました。
まず、サイコーの叔父にあたる川口たろうの境遇が、ガモウひろしのものに酷似している点、また、作中に出てくる川口たろうの「超ヒーロー伝説」が、ガモウひろしの「とってもラッキーマン」の絵のまんま。
これはもう自白していると言ってもいいんじゃないでしょうか。
他にも理由はいくつかあるのですが、私が推したい理由は、この「バクマン。」のタイトルにあります。
バクマンをローマ字にすると、BAKUMANN
下の部分を隠すと……。
ほら、ラッキーマンと読めますよね。
つまり、ガモウひろし=大場つぐみの説は、ほぼ間違いないといってもいいと思います。
漫画家による漫画家の漫画だから面白い。
ガモウ先生が大場つぐみだとすれば、ラッキーマン以降打ち切りが続いた苦い経験も多数あるベテラン漫画家です。
黄金期を知り、自分もつらい経験を味わった、そんなガモウ先生だからこそ、ジャンプでよかったこと、悪かったことをリアルに描けるのだと思います。
バクマンは、ノンフィクションの部分もある、だからこそ面白い。
私はそう思います。
感想
漫画家になろうとした二人の中学生が、様々な苦難を経て、一人前の漫画家になっていく姿を描いたバクマンは、子供のみならず大人も楽しめるすごい作品です。
今回の記事では書けませんでしたが、サイコーシュージン、エイジだけでなく、他にも個性あふれる漫画家さんたちが多数登場します。
最もすごいと思えるのは、サイコー達だけでも10作品以上の漫画、エイジも数作品、もちろん他の漫画家さんたちも各自の漫画作品が劇中に登場するところです。
それぞれの漫画家たちで作風がすべて異なり、しかもそれらの漫画たちが全て面白そう。
漫画作品の中に登場する漫画作品にも手を抜かないという所に、プロ根性を見ました。
そんなバクマン。が面白くないわけがないですよね。
未読の方は是非読んでください。あなたの今後の漫画の見方が変わるかもしれませんよ。