「それでも町は廻ってる」
作者 石黒 正数 掲載誌 ヤングキングアワーズ(少年画報社)16巻完結
こんな人におススメ
年齢:10代以上 性別:男女共に
ジャンル:日常系コメディ
マンガ系統:日常、SKETDANCE
2016年の12月号をもって堂々完結した「それでも町は廻ってる」(通称「それ町」)
私も大好きな作品になりますが、ついに最終回を迎えました。
月刊誌の連載のため、単行本は年に1冊から2冊しか出なくて悲しかったのですが、これからもう新刊が出ないと思うともっと悲しいです。
今回は「それ町」について、魅力的な2人のヒロイン紹介と共にお送りします。
「それ町」は終わったけど、あのキャラクター達にはまた会える!?
という私の推理も併せてどうぞ。もちろんネタバレはしません。
3行あらすじ
- 嵐山歩鳥は、丸子商店街のメイド喫茶シーサイドでバイトをする女子高生。
- 冬のある日、猫を探している美少年に出会い歩鳥は協力するが、その美少年は1つ上の紺双葉という女性であることを後に知る。
- これは歩鳥がたくさんの人たちと出会い、少しの不思議な体験をしながら高校時代を過ごす物語。
喫茶店シーサイド
元々は、磯端ウキが経営するただの喫茶店。
メイドカフェが流行っていると知ったウキは、喫茶店をメイド喫茶にし、制服をメイド服にすることにしました。
ウキのことを、歩鳥は「ばーちゃん」と呼んでいるが、おばあちゃんです。
もちろんメイド喫茶なので、ウキもメイド服です(意外に似合う)。
喫茶シーサイドは、商店街の人たちが集まる憩いの場。
魚屋、八百屋、クリーニング屋の3人のおじさんが常連です。
誰もメイド喫茶のことをよく知らないので、メイド喫茶シーサイドは、制服がメイド服なだけの喫茶店です。
人気メニューは、ばーちゃんの特製カレー。
ウキと歩鳥、歩鳥の同級生の辰野トシ子の三人のメイドがいる、丸子商店街の人々のたまり場。
「それ町」は、日常系の漫画で、基本1話完結なんですが、このシーサイドが舞台のお話が結構あります。
歩鳥に思いを寄せ、トシ子に思いを寄せられる魚屋の息子の真田や、松田優作にあこがれる配属したての警察官、バイト禁止なのにバイトをしているとかぎつけた数学教師など、何かとみんなが集まるシーサイドは、歩鳥の高校生活の重要な舞台のひとつと言えます。
「それ町」は、シーサイドに集う人たちの物語
嵐山歩鳥の魅力
有り余る行動力をもったポジティブ女子。天然で奔放な言動や行動でしばしば周りをトラブルに巻き込んでいく。
シーサイドではメイド服を着ているが、およそメイドとは思えないべらんめえ口調を使う。
本作の主人公ですが、美人ではなく、可愛い系の女子。
下町生まれということで、粋な部分をもつドジっ子のメイド。
弟と妹がおり、二人の前では頼りになるお姉ちゃん。
ミステリー小説が大好きで、自分も書いてみることがある。将来は探偵になりたい。
Tシャツにズボンで、髪は商店街の理髪店で済ませる。
イメージとしては、「こち亀」の両さんが、女子高生だったらみたいな女の子です。
「それ町」は、みんなが歩鳥を大好きな物語
紺双葉の魅力
歩鳥との出会いは、愛猫が迷子になって探している時だった。
明らかに年下のその女子高生は、自分を男でしかも年下と勘違いをしている様子だった。
イギリスの血が入ったクオーターで目が青い。無口で鋭い目つきから、クラスでは孤立している。男勝りで気丈に見えるが、実は気が弱くて怖がり。
音楽が好きで、ベースを自らもたしなむ。食が細くていつも歩鳥に怒られる。
本作で、歩鳥と対をなすメインヒロインといってもいいでしょう(主観もはいっているかもしれません)
奔放な性格の歩鳥とは正反対の双葉ですが、二人は高校生活の中で無二の親友になっていきます。
「それ町」は歩鳥と双葉の友情の物語。
日常にちょい足しミステリー
「それ町」は、女子高生が主人公のドタバタ日常コメディーなだけではありません。
歩鳥の将来の夢は探偵になることですが、歩鳥が謎を解いていく回があります。
普段は、ウキにカレーの材料のお使いを頼まれても満足にできない残念な子なのですが、稀に自分も持て余す程の驚異的な記憶力を発揮します。
その記憶力や、ミステリー小説仕込みの推理力を使って、日常で起きた事件の謎を解いていくのです。
作者の石黒先生もミステリーが好きなようで、掲載雑誌の表紙に暗号を仕込んだこともあります。
歩鳥のタオルの文字が赤青緑の3色ですが、書いてある文字は
GNUS EOHTPCFS MDFS VOSIM UGF EME
海パンに「赤は後ろ」「青は前」
これを当てはめると
↓
FOUR EPISODES LEFT UNTIL THE END
日本語訳「あと4話で終了」
この暗号が出たとき、ネットでは「それ町」が終了してしまう!とファンたちが慌てふためきました。
こういった終了予告も珍しいですよね。
また、物語の途中で歩鳥はベリーショートの髪型になってしまうのですが、話が進んでいくと、その髪型は普通のショートに戻っていたりします。
この作品は、1話完結ですが、読み進めていくと時系列がめちゃくちゃ(雑誌の掲載順と単行本の収録話もめちゃくちゃで、単行本未収録の話もあります)。
実は、これは「作者から読者へ向けた挑戦状」らしいんです。
最終回はどこにつながるのか…………。
実際に全巻読んで見てから皆さんも考えてみて下さい。
そういった謎を解く公式ガイドブックも出ていますので、ファンの方は是非!
完結したけど、歩鳥にはまた会える!?
ここからは、私の推理(というか予想というか希望的観測)です。
「それ町」は確かに終了しましたが、歩鳥や双葉にはまた会える可能性があると考えます。
その理由を説明する前に、石黒先生の作品は「それ町」しか知らない、というそこの貴方。
あなたは、他の歩鳥に確実に会えます。
実は、嵐山歩鳥というキャラクターは、「それ町」が初登場ではないのです。
こちらは、石黒先生の漫画の短編集なのですが、この中の1作
「夜は赤い目の世界」に歩鳥が登場しています。これが、嵐山歩鳥の初登場作品。2002年8月号のコミックフラッパーに掲載された読み切りです。
「それ町」の女子高生メイド歩鳥とはちょっとイメージが違いますが、作者も認める正真正銘の嵐山歩鳥です。
こちらも、2003年8月号のコミックフラッパーで掲載された読み切りです。
表紙の女の子、間違いなく歩鳥ですよね?
因みに双葉も登場します。
「それ町」の連載は2005年ですので、本作の登場前に私が確認できただけで2度も別の作品で同じ名前のキャラクターを登場させているんです。
(もっというと、「ネムルバカ」という作品には、歩鳥によく似た「入巣柚実」というキャラが出てきます。「いりすゆみ」文字を一つずらしてみて下さい)
石黒先生は、パラレルな世界戦で、自分のキャラクターを登場させていますので、今後の作品の中にも歩鳥や双葉が登場する可能性は高いと予想できるわけです。
因みに、現在、週刊少年チャンピオンで連載中の「木曜日のフルット」の主人公は鯨井早菜という女性ですが、外見は双葉そのもの。
それ町の静と同じ顔の女子高生、静なんかも出てきます。歩鳥によく似た幼稚園児も出てきます(おや……?)
キャラの使いまわしって言えば聞こえは悪いですが、ミステリー好きの石黒先生のことですから、なにかしらの仕掛けがあるのかも。
まとめ
「それ町」は連載終了したけど、石黒先生なら、きっとまた歩鳥に会わせてくれるよね!?
そうだよね!?
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