マンガ好きの本棚に必ずある「レベルE」をネタバレ感想。富樫仕事しろの使い方も

「レベルE」


作者 富樫義博 掲載誌 週刊少年ジャンプ(集英社)3巻完結

こんな人におススメ

年齢:10代以上 性別:男性

ジャンル:SF、ファンタジー

マンガ系統:エニグマ、パタリロ






HUNTER×HUNTER、幽☆遊☆白書の作者、富樫義弘先生のSFオカルト作品です。

全16話で、すべてが1から3話での短編マンガからなるオムニバス作品。

連載終了してから10数年たってからアニメ化されるなど、時代を超えて愛され続ける作品。

マンガ読みの中では、好きな作品としてこの作品を推す者も多く、全3巻と短いながらもこの作品がマンガ業界に与えた影響は大きいと思います。

3ポイントであらすじ

  • 野球が強い高校への進学を機に、山形で一人暮らしを始めることになった筒井雪隆。
  • 引越し当日、自分の部屋に入ると、既に自身の部屋で生活をしている自称宇宙人と出会う。
  • 自称宇宙人のいうことを聞かない雪隆だったが、彼が持つ謎のスイッチを押すと、最近ニュースで話題の謎の飛行物体が爆発してしまい、信じざるをえなくなり、共同生活を余儀なくされる。




オムニバス形式のSFマンガの傑作

本作は大きく分けて8編の短編によって構成されている。

8編の中は同じ世界線での物語だと思われ、登場人物が重複することも多いが、完全に独立した短編も存在します。

全8編のストーリーがもれなくすべて面白いです。

「世にも奇妙な物語」の上質な話ばかりを漫画にしてしまった、そんな感じですかね。

宇宙人などのSF要素、RPGの世界感など、男の子が好きなものを詰め込んだ作品で、当時、カルト的な人気があった作品でした。

アニメ化されましたが、そちらは爆発的なヒットまで行きませんでした。さすがにちょっと遅すぎたのかもしれませんね。

もちろん、アニメの方もいいのですが、やはり富樫作品の魅力は、あの独特な絵で描かれる世界感ですので、私としては、是非ともマンガで読んでもらいたいです。

☆ここからはネタバレ☆

第1編を読んだ時の衝撃は今でも忘れられません。

そんな人は多いのではないでしょうか。

記憶を失った自称宇宙人が身柄を狙われて逃げ続けているという、自称宇宙人の話をようやく信じ始めた雪隆。

しかし、それは、すべて自称宇宙人が仕組んでいたことでした。

実は、彼はドグラ星という所の王子であり、記憶喪失など真っ赤な嘘。

自分の側近や、雪隆をおちょくるために壮大なドッキリを仕掛けていたことが発覚します。

このバカ王子こそが、この物語の主人公?兼、ストーリテラーのような形でオムニバスの作品たちが展開されていきます。

時にはバカ王子が退屈しのぎに小学生を宇宙船にさらい、変身ヒーロー原色戦隊カラーレンジャーに改造してしまったり、マクバク星の婿探しを阻止するために側近のクラフト達が奔走したり。

SF作品ですが、ホラー要素は少なく、むしろギャグの要素が高めですので、そういったものが苦手な人も楽しめるのではないかと思います。

「富樫仕事しろ」を考える

ネットでは、HUNTER×HUNTERの休載が多いことから、標語ののように叫ばれ続けていますよね。

もちろん、多くの人はネタとして言っているわけですが、最近、ガチ気味な温度で言っている人もいるので、ここで正しい「富樫仕事しろ」を解説しておきます。

富樫先生が、メジャーになったのは幽☆遊☆白書でした。

この連載中の休載はなんと1回だけ。しかもアシスタントなどを使わず、一人で原稿を書き上げることが多かった富樫先生。

しかしその連載は人気絶頂の中突如終了します。

連載終了の原因は、諸説あります。持病の腰痛の悪化や、過密スケジュールのため、書き続けることができなくなってしまったなど。

この件については、幽☆遊☆白書が連載終了した直後のコミケで本人が降臨し、「よしりんでポン!」という作品を出しましたが、そこで触れられています。

そこには、幽☆遊☆白書をやめた経緯について、結論として自分のわがままでやめた旨のことが書かれています。

ですから、古参のファンたちはあまり強く「富樫仕事しろ」とは言えないようなんですね。

あんまり言うと本当に連載を終了されてしまうという恐怖感があるのでしょう。

ですから、みなさんも「富樫仕事しろ」という時は、愛情をもっていうよう心掛けてください(笑)

このレベルEは、週刊少年ジャンプで月1連載でした。

自身の好きなSFオカルトを自分の好きなペースで書いたので、ある意味で富樫先生がやりたいようにできた作品なのかもしれません。

わずか3巻の中に凝縮された富樫ワールドをまだ読んでない人は、この機会に是非読んで見てくださいね。

レベルE 文庫全2巻 完結セット (集英社文庫―コミック版)

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