「ルサンチマン」
作者 花沢 健吾 掲載誌 ビックコミックスピリッツ(小学館)4巻完結
こんな人におススメ
年齢:20代以上 性別:男性
ジャンル:近未来SF、恋愛マンガ
系統:ボーイズオンザラン、GANTZ
知ったか3ポイント
- 2015年の東京、デブ、ハゲの30独身の工場勤務の坂本拓郎(たくろう)が主人公
- たくろうは友人の勧めで、バーチャルリアリティの「TUKIKO(月子)」ギャルゲーをはじめる
- 仮想現実世界でプレイしていくうちに、「月子」は通常のAIソフトと違うことに気づいていく。
連載開始は2004年!?
ルサンチマンが連載されたのは2004年です。
描かれたのは2015年の世界です。
この記事を書いているのは2017年で、連載開始から13年たっており、描かれた世界からは2年経っているわけです。
しかし、花沢健吾は、その当時から現代を予言していたと言えます。
「ルサンチマン」から見るVR技術の進化
本作で、主人公たくろうは、友人の勧めでギャルゲーをすることになります。
ヘッドギアを装着し、仮想現実の世界でAIでプログラムされたかわいい女の子が出てくる恋愛ゲームです。
ヘッドギアを着用して仮想現実を楽しむ。
これって今話題のVRですよね。
調べてみると、意外にVRの歴史は古く1960年代には誕生していたようです。
1990年代には、家庭用のVRも発売されたようですが、普及せず。
2013年に「Oculus Rift」のプロトタイプがリリースされます。
2016年はVR元年といわれていますが、「Play Station VR」をはじめとして、先述の「Oculus Rift」などの高性能のVR用のヘッドマウントディスプレイが登場しました。
私も体験したことがありますが、まさに「仮想現実」といえる世界でした。
上の画像はプレステのVRですが、今はスマホ用のゴーグルさえ買えば、安価にVRの世界を体験できますよ。
ぶっちゃけ十分すぎる程です。安いし
いわゆる没入感がすごく、もし家にあったら1日中寝食を忘れてやってしまいそうな危険性を感じました。
現在ではスマートフォンを使って、安価なVRゴーグルで仮想現実世界を体験できますので、VR未体験の方は是非。
「ルサンチマン」では、仮想現実と現実世界の落差が上手く描かれていると感じます。
仮想現実ではかわいい女の子にちやほやされる男。
一方現実では、デブ、ハゲの30歳独身男。
だからこそ、仮想現実の世界に入り浸ってしまう。
そっちを自分の「現実」にしてしまう。
作者の花沢健吾さんは、VRが流通する世界はこんな風になるということも予測していたのかもしれません。
これは、VRがもっと浸透したら、社会問題のようになっていくのかもしれませんね。
連載当時は2004年
2004年って、ハウルの動く城が公開された年ですし、ドラえもんの声も大山のぶよさんの時代。iPhoneが発売されたのは2008年ですから、スマートフォンすらない時代(正確にはあったようですが、普及はしてない)。
タレントの芦田愛菜ちゃんは2004年生まれですって。
そんな時代に早くもVRに目をつけていたとは……。
花沢健吾恐るべし。
「報われない傑作」
新装版の帯には書かれていますが、まさにそう。
当時の読者には、リアリティのない夢物語の作品にみえたのかもしれませんね。
LINEの「りんな」など、AI技術の進化も著しいなか、「ルサンチマン」の預言した世界が近い将来訪れるのではないでしょうか。
まとめ
花沢健吾は、「アイアムアヒーロー」で一躍大ブレイクを果たした漫画家ですが、他にも「ボーイズ・オン・ザ・ラン」、「特火点」など、数々の名作を生みだしています。
特に本作については、近い将来、間違いなく再評価されるのではと個人的には思っています。
「アイアムアヒーロー」はアニメ化、実写映画化しましたし、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」も実写映画化しており、どれもヒットしています。