漫画「げんしけん」2代目じゃなくて初代について感想。ネタバレ控える

「げんしけん」


作者 木尾士目 掲載誌 月刊アフタヌーン(講談社)完結

こんな人におススメ

年齢:10代後半以上 性別:男女共に
ジャンル:オタク、青春、コメディ、恋愛
マンガ系統:もやしもん、旦那が何を言っているかわからない件



根強いファンも多く、続編である「げんしけん二代目」もこの間完結しましたが、今回は敢えて初代だけ紹介します。二代目げんしけん知ってるけど、初代知らないから読んでないって人向け。ネタバレ控えます。初代が面白すぎたから、二代目ができたんですよ。

というわけで二代目についてはまた後日。

この作品は、是非、高校三年生とか、大学生活を楽しめていない方に読んで欲しいなと思います。
何でもない大学生活だってこんなにいいもんなのです。
そんな漫画です。

知ったか3ポイント

  • 椎応大学の新入生、笹原は、オタク系のサークルに入ろうとするが決心がつかずにいた。
  • 結局、同級生の高坂との交友により、見学先の現代視覚文化研究会(略してげんしけん)に入会することにした。
  • 二年生の班目(まだらめ)、非オタだが、イケメン高坂狙いで入会した春日部咲など、個性豊かな仲間に囲まれながら、オタクとして成長していく。




大学の文科系サークルのリアルな日常

マンガ、アニメ、ゲーム、コスプレ、フィギュア、ガンプラ、同人誌など、いわゆるサブカルチャーが好きな人間たちが、各々好きにオタ活動をするサークルげんしけん。
簡単に言えば、オタクたちのたまり場。
毎日、アニメやゲーム三昧、秋葉原に行って、とらのあなで同人誌を買って、コミケがあれば参加して、暇なときは部室でオタトーク。
いつ勉強してるんだよと思うかもしれませんが、大学生なんてそんなもんです

げんしけんは、主人公笹原がげんしけんで過ごす四年間を描いた作品です。

今ではそこまでではありませんが、連載当時の2002年くらいは、オタクのイメージは悪く、暗い陰キャラのレッテルが貼られていました。

オタクであることを隠す人も多く、本作の主人公、笹原も高校までは密かな趣味として、個人的に楽しむのみでした。

大学に入ったことをきっかけに、同じ趣味の仲間を求めて、オタク系のサークルに入ろうとするのですが、決心が中々つけなかったのはそういった背景があるんだと思います。

しかし、そんな自分がオタクであることの心の整理がつかなかった笹原は、自分の欲望を決して隠さない、オタクであることを恥じない、そんなオタクの鏡といえる男と出会うのです。

班目という男

このマンガは、一応、笹原が主人公です。
しかし、隠れ主人公ともいえる男が班目晴信(2年生)です。

長身細身でおかっぱ頭の八重歯の男。春日部さんにいつも「その話し方オタクっぽい」と突っ込まれるような話し方。
2次元にしか興味がないことを公言しており、生活費を削って同人誌を買いあさる。笹原のオタクの師匠的な存在なのかもしれない。
オタクなのにリア充(オタ生活を満喫しているから)というすがすがしい男です。

アニメでは、声を檜山修之さんが担当されています。
あの、幽☆遊☆白書の飛影グレンラガンのヴィラルの声の人です!
厨二の元ネタになるようなキャラを演じた人が、厨二のオタクの声をそのままあてちゃったんですね(笑)なので、アニメ版の班目は声だけやたらカッコいいです。因みに二代目では、声優さん変わっちゃってます。

主人公が笹原ながら、班目のキャラが立ちすぎているので、読者は班目に感情移入しがちです。
二次元にしか興味のないオタクの成長の物語としてみても、げんしけんは面白い。

げんしけんは班目の物語だと私は思っています。

春日部咲

オタクと対極にいるリア充女子で、茶髪でおしゃれな美人でげんしけんの紅一点。
何故彼女がげんしけんに出入りしているかといえば、イケメンで幼馴染の高坂を狙っているから。
高圧的な性格でオタクが嫌いだが、高坂が重度のオタクなため、げんしけんの部室にいざるを得ない。
そんな彼女も少しづつオタクという生き物に理解を示していく。

竹を割ったような性格なので、オタクは嫌いだが、だからといって他の部員達を毛嫌いしているわけではなく、普通に話す。しかし、先輩でもため口アネゴといった感じである。

オタサーの姫という言葉が連載当初あったかはわからないが、そういう感じでもない。
青春マンガにはヒロインが必要なのだが、正式には、彼女はヒロインではない。
しかし、ある意味でげんしけんのヒロインではある。

その理由は、読んでもらえばわかります。

まとめて感想

私は、げんしけんは、オタクということは恥ずべきことではない立派な趣味であることを大々的に知らしめた作品だと思います。
内向的に楽しむだけでなく、仲間と一緒に楽しめる趣味であり、オタク≠非リア充だと。
木尾士目先生の作品は、心にグサッと刺さるマンガが多かったのですが、このげんしけんは、心にグサッとというより、チクチクって感じ(伝わりにくいですね)

私はすでに大学を卒業していますが、今読んで見ると、「あぁ、大学ってこんな感じだったなぁ」、「もどりたいなぁー」とセンチメンタルになってしまいます。

ちょっと甘酸っぱい回もあり、大笑いする回もあり、まじか!と引き込まれる回もあり、そんな大学生活が凝縮されたのがげんしけんだと思っています。

この作品はアニメ化もされています。
私は、実はアニメの方から入ったんですよね。主題歌が好き。OPもEDも。
OPはmanzoの「マイペース大王」
EDはアツミサオリの「びいだま」

マンガ読むのはなーと思ってる人は、とりあえず三話くらいアニメでみましょう。騙されたと思って。

最新作ももちろん面白いものはたくさんあります。
でも、ちょっと前の作品だって面白いのはたくさんありますよ。

良作はいつまでたっても良作なんですから。

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